熱帯夜の新対策です。その寝苦しい夜の過ごし方に間違いが潜んでいるかもしれません。

 川崎市にあるビアガーデン。ここで楽しめるのは網で焼くジューシーな肉。そして、キンキンに冷えたビールを求めて連日、多くの人が訪れます。

 週末には満席になる日もあると言いますが、気になるのは夜になっても続く暑さ。

川崎モアーズ ビヤガーデン 奥田直之店長 「6月中旬ぐらいから蒸し暑くなってきた。お客さんも暑さを懸念している」

20代の人 「寝苦しいは寝苦しい。エアコンつけないと」

 暑い夜を乗り切るためのポイント。熱中症患者などの訪問診療を行う田代医師に聞きました。

■熱帯夜をしのぐ“シン対策”

 その一つ目が「エアコンの風向き」です。

 夜寝る時のエアコンの風向きは「上向き」か「スイング」か、あなたはどうしているでしょうか。

 正解は「上向き」です。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長 「クーラーの冷たい風が直接、体に当たると自律神経の乱れ、粘膜の乾燥を引き起こしてしまう恐れ。喉の粘膜が乾くとかですね、不調をきたす可能性も。クーラーの冷風が直接、体に当たらないように風向きは水平・やや上向きを意識する。とても大切」

 次に田代医師が挙げたポイントが「内臓など体の内側の『深部体温』を下げる」です。

 日中、体の内側にたまった熱を冷ますことも重要だと言います。より効果的なのは「足元に扇風機などの風を当てて寝る」です。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長 「やはり熱帯夜といえど、深部体温を冷やしすぎるのも寝苦しさにつながってしまいます。首元とかは割と、かなり太い血管も多いですし、深部体温が冷えすぎてしまう可能性もあります。さらに耳元を冷やしていると、めまいの原因になることも。その点、扇風機の優しい風を足首に当ててあげると、足首の辺りは少し太い静脈系が集まっていて、ほどよく冷えた血液が体を回ってですね、深部体温もちょうどいい温度に下がるということが期待」

 最後に田代医師が指摘するポイントが「寝る時のパジャマ」です。

 普段、何気なく身に着けているパジャマ。夏の夜、おすすめなのは「長袖、長ズボン」です。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長 「(半袖は)汗をバーッとかいた時に敷布団は汗を吸収しにくいので、体と敷布団の間で蒸れが発生して、脱水や寝苦しさにつながる。汗を吸収しやすい素材の薄手の長袖、長ズボンのパジャマ、それを着て休んでも暑くて寝苦しいとならないような室温にするのが大切」

 熱帯夜を乗り切るポイントを教えてくれた田代医師のもとには連日、熱中症を訴える患者からの依頼が殺到しています。

医師 「大変だったね」 患者 「動けなくなっちゃってさ」

 80代の男性は、先月末から少しずつ体調不良を感じていたといいます。

医師 「この家はクーラーがないんだね。間一髪でしたね。水分が足りていなくて、熱がこもりやすくなっていた」

 診療した医師は改めて「夜の暑さ」に警鐘を鳴らします。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長 「夜間の熱中症が(翌日)症状の訴えにつながった。寝苦しいと感じる時は、それだけで夜間の熱中症や脱水のリスク。寝苦しい場合は空調を管理して整えることがとても大切」