警察庁は最新の犯罪動向や治安情勢、警察の取り組みをまとめた「警察白書」を公表しました。今年はSNSを悪用した犯罪について特集が組まれています。

 今年の白書では「SNSを取り巻く犯罪と警察の取組」というタイトルの特集が組まれ、SNSを悪用した犯罪の深刻化に関して冒頭から多くのページが割かれ、取り上げられています。

 注目されているのは中核的な人物が匿名化されたうえで、メンバー全体がSNSで緩やかにつながり、詐欺や窃盗などの犯罪を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」の存在です。

 この「トクリュウ」はSNS上で高額な報酬をちらつかせて実行犯を募り、詐欺や強盗などの犯罪に加担させる実態が確認されています。

 なかでも深刻なのが「SNS型投資・ロマンス詐欺」と呼ばれる手口です。

 これはSNSを通じて被害者と信頼関係を築いたうえで、嘘の投資話などを持ち掛けて金銭をだまし取るもので、去年1年間の認知件数は1万237件、被害額は約1272億円と前の年から著しく増加しています。

 こうした背景を受け、全国の警察では、押収したスマートフォンの解析やAI(人工知能)技術を活用したサイバーパトロール、犯罪で得た収益を隠す目的などで使用される暗号資産の追跡などを進めていて、白書の中で詳しく紹介されています。

 この他にも悪質ホストクラブの実態や社会問題化しているオンラインカジノによる賭博行為、さらには外国人グループによる金属窃盗や大量の万引き被害などについても言及されています。

 警察白書は29日から販売されて、警察庁のホームページでも無料で公開されます。