猛暑の影響で「秋の味覚」に異変が起きています。養殖のハマチが激減している一方で、今年の栗は味が抜群のようです。
■脂が抜群!天然ブリが今安い
きれいなピンク色が新鮮さの証。秋から冬にかけて旬を迎える天然のブリです。
今年は水揚げが順調とのことで、この時期からしっかりと脂が乗っています。
60代の人 「天然のブリを探しに来て、安いと思ってびっくりしている」
都内の鮮魚店ではブリの刺身が例年の2割安です。
魚河岸 中與商店 藤井禎基副店長 「養殖とは違った天然もののさっぱりとした脂乗りで、とてもおいしく刺身で食べてほしい」
天然のブリ類の漁獲量は約8万トンです。一方、養殖のブリ類は約13万トンで、天然の1.6倍です。
養殖の「ハマチ」。成長に伴い名前が変わる「出世魚」で、ハマチが成長すると「ブリ」と呼ばれるようになります。
宿毛の海鮮小屋 山上翔店主 「5キロ以上をブリ、5キロ以下はハマチと言っている。パンパンに太っているのが養殖の特長。ちょうど良い脂の乗り。甘みもある、うまみ」
ところが今、この養殖ハマチがピンチに…。
宿毛の海鮮小屋 山上翔店主 「高水温の影響で出荷の数が減っている。今まで身近だったものが身近ではないものに変わりつつある」
■記録的な猛暑で身近な食材に異変?
海では何が起きているのでしょうか。
高知県の養殖場では、いけすの中で約27万匹の稚魚を育てています。
養殖ハマチの漁師 荒木俊慶さん 「ハマチ、こっちが成魚のいけす。4000から5000匹。出荷している魚」
ただ近年、温暖化による海水温の上昇が原因で海水に含まれる酸素が低下しているといいます。
その結果、ハマチが酸欠で死んでしまう被害が…。
養殖ハマチの漁師 荒木俊慶さん 「僕たちも経験がないような、海水温が32℃を超える時に稚魚も成魚も全部の魚種が死んだ。去年は稚魚が3万匹以上、出荷中の成魚は約2万匹死んでいる。出荷の重量のベースで1億円以上の被害」
ハマチが死ぬことで、さらなる問題が…。
養殖のいけすに突如、現れたのは「サメ」です。
3年ほど前からサメがいけすの網を食い破り、侵入してくる被害が続出しているといいます。
養殖ハマチの漁師 荒木俊慶さん 「(網に)穴を開けられて、稚魚もすごく逃げていた。高水温で魚が死ぬことによってにおいが沖に流れて来ていると思う。年々、増えている。今年も水温が低い2月3月から(サメが)見えていた」
■甘味凝縮!絶品栗スイーツ
一方、猛暑で魅力がギュッと凝縮された秋の味覚も。
茨城県にある道の駅の直売所には人、人、人。お目当ては…。
東京から来た人(60代) 「クリだけのために来ました」
実はクリの生産量日本一の茨城県。笠間市の直売所には、お客さんが殺到し、どんどんクリが補充されていきます。
東京から来た人(60代) 「東京ではこんなに大きいクリは売っていなくて、なかなか手に入らないので今年は笠間まで来ようかと。品種がこんなにたくさんあるって初めて知った」
猛暑の影響で収穫が1週間ほど遅れたといいますが…。
道の駅かさま 菅井敏幸駅長 「今、出ているものは粒が小さい話を聞いているが、甘いという声もある。去年以上に甘くなっている」
陽の光をたっぷり浴びて甘みが凝縮されたといいます。
道の駅かさま 菅井敏幸駅長 「おいしいですね。粘り気っていうか、ちょっとしっとり」
クリを使った絶品スイーツも大盛況。
クリのペーストをたっぷり絞り出したデザートは素材本来の味と香りを同時に楽しむことができます。
県内から来た人(60代) 「あまり砂糖が入っていない感じで(クリが)絞り出してある感じ。中のクリームと食べて、お塩が合うね」
■栗取り放題!大人も子どもも夢中に
楽しめるのは食だけではありません。
かごにどんどん積まれていく新鮮なクリ。行方市にある農業テーマパークでは今月からクリ拾い体験が始まり、家族連れでにぎわいました。1つでも多くのクリをと、大人たちも最後まで必死でした。
持ち帰ったクリはホカホカの栗ご飯に。楽しみ方は十人十色。皆さん、今年のクリをご賞味あれ。