寒い場所での栽培が不向きとされているサツマイモが今、北海道でおいしく育っています。しかも、お安くなる可能性も。
■北海道産サツマイモがアツい!
農業王国・北海道。北の大地から掘り出したのは「ジャガイモ」ではなく…サツマイモです。
実はこれ、野菜のプロも驚く出来事。
アキダイ 秋葉弘道社長 「サツマイモ!?ジャガイモじゃなくて?サツマイモって北海道じゃできないイメージ。これは革命的な話」
寒さに弱いサツマイモ。これまでは寒冷地・北海道で栽培されていませんでしたが、ここ数年、ある変化が起きているのです。
農家 「温暖化の影響もあって、北海道でもサツマイモを作りやすくなったと思う」
■“ほくほく前線”北上で北海道にもサツマイモ?
サツマイモといえば、九州や関東などで栽培されていますが…今、“ほくほく前線”が北上。温暖化を逆手に取り、北海道ではサツマイモを栽培する地域が広がっているんです。
5年ほど前に札幌市で本格的にサツマイモ作りを始めた高橋さん。今ではトウモロコシ、トマトに加え、主力作物の一つになっているといいます。
高橋ファーム 高橋信一郎代表 「この暖かさが影響してるんですかね。例年にないくらい今年は本当にいいものができ上がってます」
北海道ならではの特徴はあるのでしょうか。
高橋ファーム 高橋信一郎代表 「ちょっと違いっていう部分で言うと、寝かす時期が少し短くても甘みは出てきます」
一般的に関東などのサツマイモは収穫後、1カ月以上貯蔵、熟成して甘くさせるそうです。一方で、北海道産は昼夜の寒暖差の影響で、甘くなるスピードが関東などより早いのが特徴。そのため、より早く流通できる強みがあるといいます。
主な栽培品種は、甘みが強く、しっとり感が人気の「べにはるか」。「つぼ」にいれて、炭火で時間をかけてじっくり焼けば…しっとり、あまあまの焼きイモに。
■秋の風物詩「サツマイモ掘り」?
北海道では、秋の風物詩にも変化が起きています。
「イモ掘り」に夢中になる地元住民。その理由は…。
札幌からの観光客 「ジャガイモ掘りはある。サツマイモ掘りはあまり聞かない」
北海道でイモ掘りといえば、「ジャガイモ」が定番でしたが…「サツマイモ掘り」も定着しつつあるそうです。
札幌からの観光客 「去年もたくさん掘って、楽しいし、イモもおいしくて大好き」 「(Q.(サツマイモを)何で食べたい?)バターイモ!バターイモがいい」
SAPPORO FRUIT GARDEN 戸田秀之代表 「やはり皆さんジャガイモ掘りに慣れているので、北海道でサツマイモが掘れるんだと来てくれる人が多い」
■“甘くて濃厚”さらに安い?
こちらは、今年3月にオープンしたばかりの焼きイモ専門店。
甘く焼き上げたサツマイモの上に、焼きイモクリームとホイップクリームを重ね、仕上げに自家製キャラメルソースなどをかけた“おイモ尽くしのスイーツ”や、濃厚なホワイトソースとチーズを焼きイモの上に乗せ、バーナーで炙れば…甘い焼きイモと、トロトロの香ばしいチーズとの相性が抜群の一品に。
焼き芋といろいろ 晴れやま堂 山田さおり店長 「イモがすごく甘いので、その上にしょっぱいものが乗ってチーズの香ばしい感じがすごく合う」
使っているのは、もちろん北海道産。北東部北見市でとれた「シルクスイート」です。
文字通り、シルクのような「なめらかさ」と「甘み」が特徴ですが、ここでも北海道ならではのおいしさが…。
焼き芋といろいろ 晴れやま堂 山田さおり店長 「オホーツク海からの潮風がミストのように畑を覆うことで、ナトリウム成分を多く含んだサツマイモが育つ。その成分が甘さ・コクを引き立てる、オホーツクならではのサツマイモ」
盛り上がりを見せる北海道産のサツマイモ。ここ数年で、収穫量は右肩上がり。これには、スーパーアキダイの秋葉社長も興味津々。
アキダイ 秋葉弘道社長 「今後の私たちの業界にも大きな影響を与えるといっても過言じゃない」
全国シェアでみると、まだ1%に満たないものの、今後、収穫量が増えることでこんなメリットも。
アキダイ 秋葉弘道社長 「サツマイモは、千葉、茨城、埼玉がすごく盛ん。北海道でできるとなると全国レベルで値段が下がる可能性は高いと思う」