岩手県大槌町で大規模な山林火災が発生してから1カ月が経過しました。宮城県で同様の火災が起きる可能性と対策について、専門家に聞きました。

 堀井聡カメラマン「山肌から煌々と赤い炎が上がっています」
 4月22日に発生した岩手県大槌町での大規模な山林火災は、平成以降国内2番目の規模で一時、町の約3割の住民に避難指示が出されました。

 2025年2月には、岩手県大船渡市で大槌町よりも大規模な山林火災が発生し、亡くなった住民もいました。岩手県で2年連続で発生した大規模な山林火災は、なぜこれだけの規模になったのでしょうか。
 千葉大学峠嘉哉准教授「林野火災が起こりやすい条件が共通していた」

 山林火災の専門家で大槌町でも調査に当たった千葉大学の峠准教授は、ポイントが3つあると言います。
 1つ目は気象条件です。大船渡市の山林火災では最大瞬間風速が18メートルと強い風が吹き荒れ、大槌町の山林火災では隣りの釜石市で湿度が9%と極端に乾燥していました。
 2つ目は、急峻な地形です。いずれの火災も火が斜面を駆け上がったために、瞬く間に燃え広がりました。
 3つ目は、樹木の種類です。スギなど油分を多く含む針葉樹が多かったため、燃焼力が強く消火が難しかったというです。

 こうした条件は宮城県にも当てはまると峠教授は話します。
 峠嘉哉准教授「宮城県北部の辺りは大槌町、大船渡市とかなり地形的にも植生的にも近いところがあり同じような懸念がある」

 山林火災は発生すると消火が難しく、大槌町の山林火災では見えない敵との戦いもありました。
 緊急消防援助隊宮城県隊林昌一大隊長「クマへの警戒という部分が普段の消火活動に加えての負荷であったり、山々が急峻で踏破するのに大変苦労した」

 山林火災に対し宮城県の消防署ではどのような対策を取っているのか、栗原消防署を訪ねました。
 栗原消防署鈴木達也消防司令「救急支援資機材になっていて、クマ対策資機材も同時にセットしています」

 栗原消防では、大槌町に支援に入った際にクマスプレーやクマ鈴を装備し山に入る際には笛を鳴らしクマと遭遇しないようにしたということです。更に、クマ以外にもやっかいな生き物がいました。
 栗原消防署鈴木達也消防司令「ノミとかダニとか害のある虫がいると情報があり、対策するスプレーを栗原の方でも宮城県大隊の方でも準備して対策した」

 装備の点では急峻な地形対策として、軽トラックが有効でした。10年前に購入し、消防車の仕様に改装しました。
 栗原消防署鈴木達也消防司令「栗原は山間部の災害とか田園地帯の災害が多い状況になっている。軽車両で険しい道路を走って資機材を運ぶことが非常に重要」

 全国で山林火災が増える中、消防庁では消火で使用する薬剤を見直す動きが進んでいます。消防庁の有識者会議で座長を務める東京理科大学の松山賢教授です。
 東京理科大学松山賢教授「今あまり消火薬剤って林野火災の時に使っていない。林野火災に特化した消火薬剤の評価方法を考えましょうと」

 消火剤は、水だけの消火に比べて約2倍の効果があると言われ1970年代まで頻繁に使用されていましたが、環境や人体への影響が不透明なことから近年は使用されることが減っています。しかし、大船渡市や大槌町の火災では、延焼範囲も広く従来の消火方法だけでは火を消し止めることに苦労したため、主に残火処理で消火剤が使用されました。
 東京理科大学松山賢教授「消火能力が上がれば労力として減ると思う。残火処理でもジェットシューターをかついで上がっていく。水量が少なく済めば積み込む量が減り、効率よく消せる」
 松山教授は、消火剤の環境や人体への影響をクリアにして効率の良い消火が必要と考えています。

 最も大切なことは火災を起こさないことです。宮城県によりますと、判明している出火原因の1位はたき火2位はたばこと人為的なものが大半を占めます。
 千葉大学峠嘉哉准教授「出火をさせないということが何よりも大事なことなので、すごく基本なことではありますけど、火の取り扱いには注意することが大事なことなんじゃないかな」