令和の時代に起きた“地上げ”を巡る事件。アパートに放火した罪などに問われた不動産会社の元社員に有罪判決です。放火の背景には上司からの「脅迫」があったようです。

■立ち退き交渉“地上げめぐり放火”

近隣住民 「誰も住んでいないのは知っていたが、家の中から明らかに火元が見えた状況。パチパチと木が燃える音が聞こえた」

 誰も住んでいない部屋から出た火に当時、近隣でささやかれたのは…。

近隣住民 「地上げじゃないかと。“売ってくれ”という話は、しょっちゅうくる」 「数年前から立ち退きの話は出ていた。うわさによると嫌がらせも…。家の近くに動物の死骸が置いてあったと聞いた」

 29日、法廷に立ったのは立ち退き交渉を担当していた不動産会社の元社員です。

内藤寛己被告(31) 「内縁の妻に危害を加えるという趣旨の話をされ、やるしかないと思った」

 立ち退きに応じない家に火を付けたとされる被告に何があったのでしょうか。

 人々の暮らしに根ざした街として古くから栄えてきた東京・武蔵小山。

 急速に再開発が進むこの地域では、住人によりますと、最近は怪しい誘いもあるといいます。

武蔵小山在住の人(60代) 「『(この地域で)都市開発のため説明会があります』と、怪しいぞと思うケースはあった。(品川区に確認すると)品川区では『そんなことはしていない』『そんな開発をする予定はない』と…」

 同じ武蔵小山で去年、起きたのは地上げを巡る放火事件。東京地裁で29日、裁判が開かれました。

検察側 「被告は被害建物周辺の立ち退き交渉を行っていた。社長から立ち退きに応じない被害者宅を燃やしてくるように指示を受け、犯行に及んだ」

 不動産会社の社員だった内藤被告は去年、品川区のアパートで放火した罪などに問われています。

 現場周辺では2件の“放火”が起きていました。

 1件目の火は被告が当時、立ち退きを迫られていた住宅から…。

 内藤被告が家の外壁にライターオイルをまきライターで火を付けたとされています。

 2件目では、被告は別の実行役2人に依頼し、空き家になっているアパートの室内にガソリンをまいて放火させたということです。

 被告は法廷で当時の勤務先の代表に触れ…。

内藤寛己被告 「内縁の妻に危害を加えるという趣旨の話をされ、やるしかないと思った」

 起訴内容を認めていました。

 そして、29日の法廷では…。

東京地裁 「被告は代表との関係では従属的な立場だが、犯行の実現に重要な関与をした」

 東京地裁はそのように指摘し、被告には拘禁刑3年6カ月の判決が言い渡されました。