新型コロナウイルスの感染が続く中、医療機関には倦怠感や頭痛など、感染した後の後遺症とみられる症状に悩む患者の相談が相次いでいます。一方で、感染を予防するためのワクチンを接種した後に、長引く体調不良を訴える声も少なくありません。2つの後遺症の実態を取材しました。

 感染した40代女性「ずっと吐き気が続いていて、あと下痢も続いていて、頭痛もすごかったんですね。立っていられない状態で、立って家事などをすると、ああもう座らないとやっていられない状態だったので」
 宮城県富谷市に住む40代の女性。2021年3月に新型コロナに感染した後、2カ月ほど吐き気や下痢、頭痛などの症状に悩まされました。
 感染した40代女性「完全に良くなることは難しくて、何で良くならないんだろうって思った時に後遺症というのを知って」

 新型コロナの後遺症は、倦怠感や息切れ、味覚・嗅覚障害、集中力の低下など多岐にわたります。WHO=世界保健機関では何らかの症状が少なくとも2カ月以上続き、他の病気では説明のつかない状態と定義していて、発症から3カ月経った時点でも症状が出ることがあるとされています。

感染から半年後の後遺症は26.2% 1年後は8.8%

新型コロナ感染者の後遺症

 国立国際医療研究センターが2021年10月に発表した報告では、軽症者を含むコロナ患者457人のうち、発症や診断から半年後に何らかの症状が見られた人は26.3%。1年経っても症状が残っている人が8.8%いることが分かりました。

 仙台市若林区にある堀田修クリニックでは、これまで30人ほどのコロナ後遺症患者を診てきました。
 堀田修院長「コロナ自身はそんなに重くなかったけども、軽く済んだんだけどその後、症状が続いていたり、1回良くなったんだけど1週間後からだるさが続いているとか、そういう方はいますね」

後遺症の症状が改善 上咽頭擦過療法

上咽頭擦過療法

 コロナ後遺症に関しては、現時点で確立された治療法はありませんが、このクリニックで行っているのが上咽頭擦過療法です。
 堀田院長によりますと、後遺症患者は鼻と喉の間の上咽頭と呼ばれる部分にうっ血が見られるケースが多く、この上咽頭に薬液を付けた綿棒をこすり付けて炎症を抑えることで、頭痛や倦怠感などの症状が改善するとみられています。
 堀田修院長「程度の差こそいろいろありますけれど、改善していくという経過をたどっております。日常生活にはほぼ支障がない程度には多くの患者さんは改善しています」

 この治療を1年ほど続けている女性も体調に変化を感じたと言います。
 感染した40代女性「何カ月か過ぎた時にだんだん落ち着いてきたので、頭痛も消えてきて、その前から吐き気も消えて元通りの生活になって。今は症状がほとんどないです」

 コロナ後遺症に対応する一方、このクリニックで増えているのが、ワクチン接種後の長引く体調不良を訴える相談です。
 堀田修院長「コロナ後遺症の患者さんよりも多いです。今うちで40名くらいおいでになっています」

ワクチン接種後の体調不良相談が増える

ワクチン接種後の体調不良

 厚生労働省によりますと、4月末時点で県内の推定接種回数は497万回余りで、このうち接種後の副反応を疑う事例は、因果関係が分からないものも含めて380件報告されています。
 堀田修院長「倦怠感、動悸とか、頭痛、首凝り、肩凝り、肺部が苦しい。コロナ後遺症とワクチン後遺症の症状は非常に類似するものがありまして、ですから両方とも上咽頭擦過療法が有効であると」

 仙台市の30代の男性は、2021年8月に1回目のワクチンを接種した後から倦怠感や肩こりなどの症状が続いています。
 ワクチン後遺症が続く30代男性「15分の待合室あるじゃないですか、その時にサーッと血の気が引くような症状があって、その時はそれだけで何ともなかったんですけど、その2日後に、また同じ症状があってそしたら動悸と苦しくなって立ち上がれなくなって。一番苦しかった時は寝てる以外何もできなくて」

上咽頭擦過療法

 これまで複数の診療科をあたりましたが体調不良の原因は分からず、このクリニックにたどり着いたと言う男性。治療を受け始めてから少しずつ快方に向かっていますが、不安は消えません。
 ワクチン後遺症が続く30代男性「何かしててもいつか体調悪くなるんじゃないかっていうのを思いながら生活しなきゃいけないので、やっぱり不安なくどこかに出かけたりとかはしたいかなという感じですね」