神戸市のマンションで、大手損害保険会社に勤める片山恵さん(24)が殺害された事件で、東京・奥多摩町で、谷本将志容疑者(35)が逮捕されました。最終の新幹線で神戸へと移送されました。
22日午後4時ごろ、谷本容疑者は、JR青梅線の古里駅と川井駅の間の国道で身柄を確保されたようです。
確保の瞬間を捉えた画像。捜査員に囲まれていたのは、金髪交じりの黒髪の男でした。
目撃者 「私が見たときは、押さえていたのは4、5人くらい。何を言っているのかわからなかったんですが、大きな声で 『やめてほしい』みたいな。暴れている感じがしました。奥多摩駅から歩いて来たと聞いているんですが、結構、ありますね。奥多摩駅はすごく遠いので、1時間では着かないと思います」
周辺では、22日昼ごろから、警察が男の足取りを追っていました。宿泊施設を中心に調べていたようです。
奥多摩町の旅館関係者 「警視庁捜査第1課の人がいらっしゃって、指名手配の人が奥多摩に来てるということで、泊まったり、訪ねてきませんかということだった。携帯で(写真を)見せていただいた。顔は説明つかないが『金髪です』と」
20日、片山さんは、自宅マンション6階のエレベーター前で倒れていました。 上半身に複数の刺し傷があり、司法解剖の結果、胸を刺され、肺の血管が傷ついたことによる失血死でした。
男がマンションに侵入し、片山さんを襲って立ち去るまで、わずか5分ほどの出来事。 捜査関係者によりますと、午後7時20分ごろ、帰宅した片山さんの追うように、男はオートロックをすり抜けてマンションに侵入。その1分後、男がエレベーター内で、片山さんを羽交い締めにしている様子が、エントランスのモニターに映され、住民が目撃していました。直後に、外階段を下りる男とすれ違った別の住人が、血を流して倒れている片山さんを発見し、通報しました。
さらに、午後7時25分ごろには、現場近くの防犯カメラに、男が、北の方向へ歩いて立ち去る姿が映っていたといいます。
凶器は、その途中で見つかっていたことが新たにわかりました。 見つかった刃物は、刃渡り約15センチ。鑑定の結果、血痕は片山さんのDNA型と一致しました。犯人は、証拠を隠すことよりも、とにかく逃げることを優先したとみられています。
片山さんは、おととし4月、大手損害保険会社に入社。神戸支社で営業を担当していました。上司や同僚から厚い信頼を得ていたといいます。
勤務先広報 「明るく朗らかで、コミュニケーション能力が高いと評判でした」
会社は自宅から約1.5キロ。片山さんは歩いて通っていたといいます。
20日午後6時半ごろ、片山さんは、会社をあとにしました。この日は、途中で郵便局に立ち寄り、午後7時ごろには「郵便物を出しました」と、上司にチャットで報告しています。その時間に窓口が開いていたのは、周辺では、神戸中央郵便局だけでした。片山さんは、そこから三宮駅まで電車で移動し、歩いて帰宅した可能性も考えられます。
そして、午後7時20分ごろ、片山さんは、自宅マンションのエレベーターで襲われました。
片山さんは、幼少期を大阪・富田林市で過ごしました。 地元の小学校に通い、中学受験で私立へ進学。片山さんを知る人によりますと、落ち着きがあって、勉強熱心な子どもだったといいます。
小学校の同級生 「本当の友だちだったのでショックです。責任感ある感じの子。班長とかもやってたし、周りを引っ張ってくれる感じの子」
なぜ、谷本容疑者は、片山さんを狙ったのか。このあと兵庫県警に移されて本格的な取り調べが始まります。