宮城県各地で7日もクマの出没が相次ぎました。

 午後1時半ごろ、大崎市鳴子温泉の住宅街に子グマが出没しました。ブロック塀の上をゆっくりと歩く子グマの近くには、農作業中の住民も。
 住民「山が近いからね。2、3回来てるから怖いですね」

 周辺では午前6時40分ごろ、頭から血を流し倒れているクマ1頭が見つかり、その後、死にました。子グマは死んだ親グマを探していたとみられ、周辺では目撃が相次ぎました。大崎市が爆竹を鳴らし追い払いました。

 小室翔太アナウンサー「クマが食べたのでしょうか。かじられた形跡のある柿が落ちています」
 7日午前5時ごろ、白石市福岡蔵本で住人が撮影した映像です。柿の木の上には、体長1.5メートルほどのクマの姿が。
 住人「やぶから出てきて柿の木に登って柿を食べていました。口で直接、手で取る感じで。結構実がなっていたんですけど、無くなったから上がっていって。周り結構食べられちゃいましたね」

 クマは6日の夕方にも出没していて、住人は花火や爆竹を鳴らし対応したということです。
 住人「畑仕事してるんで怖いですよね」

 宮城県栗原市の山中でキノコ採りをしていてクマに襲われ死亡した女性は、正面から襲われたとみられることが新たに分かりました。

 3日、栗原市の山でキノコ採りをしていた志水春江さん(75)がクマに襲われ死亡しました。

 一緒に山に入った70代女性の行方が分からなくなっていて、警察が7日もパトカーで巡回し目視で捜索しています。

 死亡した志水さんは仰向けで血を流して倒れていて、首の前部には深い爪の痕が残っていました。クマと鉢合わせし、正面から襲われたとみられています。

 地元猟友会は、クマを捕獲するため現場周辺に箱わなを2基設置しました。

 6日午前には、体長70センチほどの子グマが捕獲されましたが、志水さんを襲ったクマとは別の個体とみられています。

 宮城県ではクマの出没が相次ぎ、被害が確認されています。クマの被害を防ぐためにはどのような対策が有効なのか専門家に聞きました。

 森林総合研究所東北支所大西尚樹チーム長「クマは非常に慎重で警戒心が強い動物。多くの場合は、クマの方から人間を先に見つけて避けてくれたり隠れてくれたりしています」

 ツキノワグマは臆病で人を避けますが、それでも事故が起きてしまうのはお互いに気付かないまま鉢合わせするケースが多いからだということです。

 森林総合研究所東北支所大西尚樹チーム長「昔から山菜取りの事故は多くて、よくあるのはクマ鈴やラジオを使わないことで起きています。ライバルに居場所を知られたくないということで、あえて付けない人が非常に多い。そうすると自分の存在をクマにアピールできない。クマも山菜を食べていたり自分の食べる物を探したりしているので、周りへの警戒心が落ちています」

 対策としては、音を出すことを基本に複数の手段を組み合わせることが大切だと話します。

 森林総合研究所東北支所大西尚樹チーム長「人間側がクマの生活圏に入っていってるので、そもそもリスクが高い行動だということを認識していただきたい。クマ鈴を持つ、ラジオを携行する、その上でクマ撃退スプレーやヘルメットの着用を検討していただきたい」

 一部では、音を出すとかえってクマを引き寄せるのではという意見もありますが。

 森林総合研究所東北支所大西尚樹チーム長「ごみを置いて帰って、クマがごみの味を覚えてクマ鈴の音を聞いてまた弁当が来たと思う個体がいるかもしれない。それは宮城県に2000頭近くいる中でせいぜい1頭か2頭。そのためにクマ鈴という比較的安くて簡単に付けられるクマ対策を取らないというのは、非常にもったいないと思う」

 仙台市青葉区のアウトドア用品店、モンベル仙台店ではクマ撃退スプレーなどの対策グッズの需要が高まっています。

 最大12メートル先まで届くというクマ撃退スプレーの売れ行きは想像以上でした。

 甚野清英店長「クマ出没の被害の影響で、実は欠品するほど売れておりまして」

 今シーズン分は既に完売していて、モンベルではクマ撃退スプレーをレンタルしています。

 甚野清英店長「レンタルの状況も10月いっぱいはほとんど埋まってきてはいるんですが、まだ若干空きがございますので是非お問い合わせいただければと思います」

 壱岐産業長谷川嘉宏社長「こちらが、熊をぼるというクマの忌避剤です。設置用と携帯用です」

 焦げたような強烈な臭いが特徴の熊をぼるを製造しているのは青森県の会社で、ぼるは津軽弁で追い払うという意味です。

 唐辛子の辛み成分、カプサイシンや木酢液などが配合されていて嗅覚が犬よりも鋭いと言われるクマが嫌がる臭いを発生させ、遠ざける効果があるということです。

 長谷川嘉宏社長「散々トウモロコシ畑を荒らされていたのが全量収穫できたとかですね、そういう声を私自身も聞いてますしメーカーでも需要は明らかに高まっていますね。ウェブからの注文だとか、6月以降ですかね特に増えてますね」

 大きな音が鳴るクマよけホーンなども取り扱っています。

 壱岐産業長谷川嘉宏社長「いったん売り切れになった時期はあったんですけど、そこから増産をして、その後は切れないようにやっているので今のところはまあまあ大丈夫」