気象庁は、南海トラフ地震の震源域と想定される高知県沖から日向灘付近で、地震を観測するシステムの活用を15日正午から始めました。この地域の緊急地震速報は最大20秒早くなります。
防災科学技術研究所が整備したのは、南海トラフ地震の想定震源域で地震や津波をリアルタイムで検知するシステム「N-net」です。
「N-net」は高知県沖から宮崎県沖で沖合と沿岸部の2カ所に地震計や津波計を備えたケーブルを海底に設置して地震などを検知するシステムです。取材中にも。
防災科学技術研究所 青井真研究領域長 「今ここで地震が起こった。マグニチュードが3ぐらいの地震。地震が『N-net』で表示をされていまして、上半分が沿岸システム、下半分が沖合システムでそれぞれ(地震が)観測された。上が東側、下が西側ということで、西側で早く地震が来ていると。この『N-net』の設置している海域の中でも西に近いところで起こったということが分かる」
高知県沖から日向灘付近の海底には地震の観測網がなく、これまで気象庁が主に利用していたのは陸上の観測データでした。
こうしたなか、去年7月「N-net」の沖合システムの整備が完了しました。
気象庁は沖合のデータについて検証を進め、15日正午から緊急地震速報への活用を始めました。
これにより、四国沖から日向灘にかけて発生する地震について、これまでより最大20秒早く緊急地震速報が発表できるようになるということです。
防災科学技術研究所 青井真研究領域長 「南海トラフ地震の発生にN-netの完成、そしてデータの活用が間に合ったということで、自分の身を守る行動を取る時間に余裕ができる。非常に防災上のメリットがある」
今後、気象庁は今年6月に整備が完了した「N-net」の沿岸のデータも活用して、四国の陸に近い場所での地震についても緊急地震速報の発表を早めることを目指しています。