7月に行われた参院選のポスターで候補者の名誉を毀損したとして、NHK党の立花孝志党首らが書類送検されました。

 7月の参院選宮城選挙区では、NHK党から立候補した前田太一氏の陣営が、立憲民主党から立候補した石垣のりこ議員の私生活に関する週刊誌報道の内容を記した選挙ポスターを掲示しました。

 これに対し石垣議員は「事実無根」と反論し7月、宮城県警に刑事告訴していました。

 捜査関係者によりますと、ポスターの作成に関わった立花党首と前田氏、そして党本部の女性職員の3人について、宮城県警は19日に名誉毀損の疑いで書類送検したということです。

 立花党首は任意の調べに対して「違法性はない」と否認しています。

 前田氏はkhbの取材に対し「不起訴を信じています」と答えています。

 立花党首らの書類送検を受け、石垣のりこ議員は「今後同じような被害が生まれないよう、適正な判断をしていただくことを期待しております」とコメントしています。

 宮城県警は、刑事処分の判断を検察に委ねる相当処分の意見を付けていて、仙台地検は刑事責任を追及するか慎重に判断する方針です。

  「名誉毀損」とは、そもそもどんな規定でどんな場合に成立するのでしょうか。刑法によると、名誉毀損とは「公然と事実を摘示し」、つまり不特定または多数の人に向けて“事実”を示し、名誉を傷つける行為と規定されています。この「事実」が真実なのか虚偽なのかは問われず、結果として社会的な評価を低下させれば名誉毀損にあたります。

 今回のケースについて、東京・国分寺市で市議会議員を務めたほか、国会議員の秘書の経験もあり、名誉毀損事件への対応の多い、三葛敦志弁護士に聞きました。

 三葛敦志弁護士「選挙のポスターですから県内至るところに貼っていくとなると、公然性は十分認められる。社会的評価の低下については、私生活でのスキャンダルを提示されるということは十分低下にあたると考えられます」

 ただし罪に問われないケースもあります。その条件は3つ、①公共の利益に役に立つ事実か、②公益を図る目的があるか、③「事実」が真実または真実と信じる相当の理由があるか。この3つ全てを満たした場合、違法性は退けられ、罪にはなりません。

 三葛敦志弁護士「公共性については政治家なので認められる。一方で公益目的かというと、他の候補を落とすことは公益目的を否定されやすい。NHK党側が取材や裏付けをしているかというとそうではなく、単に週刊誌で報道されているからと書いたら、真実相当性は当てはまらない。今回の件は違法性阻却事由がないと考えられる」