「仲間がいる、家族がいる、応援してくださる方々がいる、その支えがあるからこそ、私たちは愛する野球ができています」

球場が静まり返る中、泉松陵・佐度優吾主将の澄んだ声が、空へと響いた。

キャプテンとしてチームを引っ張る佐度君

【「表で喋るのは、実は苦手なんで」】

部員13人の泉松陵。決して規模の大きなチームではないが、公式戦1勝を目指す部員たちを、佐度君は引っ張ってきた。

小学4年生の時に野球を始めた佐渡君。キャプテンを務めるのは高校が初めてだが、チームとともに成長してきた実感がある。

「表で喋るのは、実は苦手なんで、結構悩みました」

人前で話すことは苦手。それでも、手を挙げた理由がある。

「このチームに出会ってから、キャプテンという存在に出会えたことに感謝もしてますし、自分が変わったことでもあって、立候補させていただきました」

チームが自分を変えてくれた。その感謝を、宣誓の言葉に込めたかった。

実際の宣誓文 印をつけながら丁寧に作り込まれていった

【刻んだ感謝の言葉 仲間と作り上げた宣誓文】

宣誓文は、野球部全員で作り上げた。

先生と、部員たちと、何度も言葉を持ち寄り、足りない部分を補い合いながら、少しずつ完成させていった。

「言葉とか、足りない部分とか、先生と部員と一緒に考えて、一緒に覚えていく中で、自分の納得いく言葉ができました」

開会式2日前、みんなの前で行った練習では、言葉が詰まる場面も。

「時代と共に高校野球も変わり続けています!しかしあ、ごめんなさい

何度練習を重ねても、拭えない不安。佐度君は自宅に帰ってからも声に出し続けた。

マネージャー佐藤美海さん(3年)

【球場が静まり返る中、その時を迎える】

淀みなく宣誓文を読み上げる

迎えた開会式当日。多くの視線が注がれる中、佐渡君は、マイクの前に立った。

「宣誓、私たちはここ宮城県の高校球児の憧れの舞台に立っています」

「野球ができる喜びを、今、深く胸に刻んでいます」

「仲間がいる、家族がいる、応援してくださる方々がいる、その支えがあるからこそ、私たちは愛する野球ができています」

「私たちは宮城から全国へ、勇気と希望を届けることを誓います」

淀みなく、その想いを伝えることができた。

【「ほっとした」見せた安堵の表情】

選手宣誓を終え笑顔を見せる佐度君

「ほっとした。まずは家族や仲間だったり、一番身近な存在の方々たちに、感謝を伝えたいです」

大役を終え、安堵の表情を見せた佐度君。スタンドで見守った両親も、笑顔で拍手を送った。

父「家で練習してて、なかなかうまくいかなかったことが多かったんですけど、もう、完璧でした」

母「すごく成長したなと、つくづく思いました」

父・克幸さん   母・亜衣さん

【目標の1勝には届かなくても】

1回戦 泉松陵1-9名取北(7回コールド)

泉松陵は1回戦で、強豪・名取北と対戦した。エースで、4番で、キャプテンの佐度君。

どれだけ打たれてもマウンドに立ち続け、7回9失点。目標の1勝には届かなかったが、最後まで戦い抜いた。

「いろいろ苦労することあったんですけど、仲間たちが自分を支えてくれて、楽しく、今までの野球人生で一番最高でした」

家族がいて、仲間がいて、応援してくれる人がいる。その支えがあるからこそ、愛する野球ができる。

あの日、宣誓に込めた感謝の言葉は、これからも、佐渡君の心の中で生き続けていく。

戦いを終え、涙と笑顔を見せる佐度君