コロナ禍を経て、地方移住にますます関心が高まっています。専門誌の住みたい田舎ランキングで全国1位に輝いた、宮城県栗原市の現状です。
11日、三連休中日の日曜日に関東からのツアー客を乗せたバスが向かったのは、宮城県南三陸町で移住者が営む宿泊施設です。
宮城県が関東在住の移住希望者向けに開いた沿岸部を巡るツアーは、2泊3日の宿泊代や食事代込みの参加費は5000円と格安です。
東京から(35)「今、仕事がリモートが増えていて、となると東京に住む必要ってなくなってくる。それで色々な地方を今見ていて」
さいたま市から(49)「色々な全国の温泉行くと自然豊かなところに引かれまして。子育てが落ち着いたら移住もいいかなと思って」
まだ社会人1年目という参加者も。
千葉県成田市から(23)「社会人1年目なのでまだ移住とかは考えられないというか、上司に口が裂けても言えないですけど、ちょっと何か夢」
コロナ禍を経て地方移住への関心が高まっています。人口減少に頭を悩ませる全国の地方自治体は、地域活性化の起爆剤として期待を寄せています。
2024年に田舎暮らしの専門誌が行った住みたい田舎のランキングで、人口5万人以上10万人未満の市の部門の全国1位に輝いたのが、宮城県栗原市です。
田舎暮らしの本(宝島社)柳順一編集長「栗原市は移住や定住に関して、色々な施策を展開していてそれが充実していると。新幹線の駅がある交通の利便性みたいなことも評価されている」
かつて料亭だった建物を改築した栗原市若柳にあるカフェを手掛けるのは、東京都生まれの移住者のカップル、中村風志さんと智恵さんです。
中村智恵さん「お待たせしました。メモ付いている方が伊豆沼レンコン。ソース大変こぼれやすくなっておりますので、中に入っているペーパーくるんでお召し上がり下さい」
近隣住民「近場にあまりカフェがそんなに無いというイメージがあったのでうれしいです」
2人はユーチューバーとしても活動し海外生活を送っていましたが、コロナ禍で帰国しました。親類のいた蔵王町で暮らしながら宮城県で物件を探し、2022年に建物を購入しました。
中村智恵さん「元々、東京の人込みが苦手でのんびりとした空気のおいしいところで定住するならそういう場所にしたいねって2人で昔から話していた。空き家をリフォームして何か面白いことをしたいなって」
中村風志さん「この物件を選んだのは、本当につくりが立派で」
中村智恵さん「素人から見てもね」
カフェには栗原市の佐藤智市長の姿も。
佐藤智栗原市長「若者の人口が極端に減っていますので、将来を担うのは子どもたちがより多く生まれるようにという政策に対応している」
人口減少に危機感を抱いた栗原市は2013年、移住政策を進める定住戦略室を設置しました。東京都と仙台市に相談窓口を設けたほか、移住者が地域に馴染めるよう交流会も頻繁に開いています。これまでに約800人が移住してきました。
佐藤智栗原市長「全体の人口から比べればごく少ないですけども、若い方とかシニアの方とか色々な方が栗原市がいいと来ていただけている」
中でも力を入れているのが子育て支援です。2022年にUターン移住してきたサッカースクールのコーチ、菅原祥吏さんです。長女の美波ちゃんは1歳4カ月です。
栗原市では18歳までの医療費や学校給食費は無償で、最大6万円の育児用品の購入券も受け取ることができます。
菅原祥吏さん「子育ての環境もすごい良くて、特に生まれたばかりの赤ちゃんはすごいお金がかかる。豊かな自然の中で子育てするのもいいかなと思いまして」
シニア世代の移住も進んでいます。大手自動車メーカーを定年退職し、愛知県豊田市から移住してきた香川誠一さんと千尋さん夫妻です。
会社を定年退職した後、栗原市の空き家バンクを活用し約900万円で家と土地を購入し、更に栗原市の移住者向けリフォーム補助金も使い、自らの手で補修したり改築したりしてきました。移住の決め手の1つが、栗原市の手厚い移住支援でした。
香川誠一さん「栗原市にしたのは気に入った家と土地があったというのが1つと、市役所の移住推進の部署が非常に手厚く案内をしてくれて」
香川千尋さん「最初に東北に住みたいと言っていたのは、ずっと前から私なんですよ。
どちらかというと」
昔から本が好きな千尋さんは、子どもたちに読み聞かせをする地元のグループで活動していて、誠一さんは昔からの夢だった畑いじりに精を出しています。
畑ではこれまで、カブやダイコンを収穫し、今は玉ねぎを植えています。
香川誠一さん「退職して暇なのかというととても暇ではなくて、今は薪作ったりしなきゃいけないし、DIYもまだまだ際限なく」
香川千尋さん「新しいことばっかりなので、毎日毎日、季節が変わっても本当に新しいことの連続なので、飽きるということが本当にない」