東京では8日連続で猛暑日になるなど「危険な暑さ」が続くなか、各地で水不足が深刻化しています。創業80年の老舗そば店では初めての事態に直面していました。

■“残暑列島”都心8日連続猛暑日

 危険な暑さは25日も。36℃台まで気温が上昇した名古屋市。今年最長11日連続の猛暑日となりました。

 東京も35℃超え。これで猛暑日は今月14回目、8月としては最多です。

 一体、いつまで続くのか。この暑さに襲われる列島で深刻化するのが「水不足」です。

 岩手県奥州市の胆沢ダム。姿を現したのはダム完成に伴い水没した、旧石淵ダムの遺構です。

 2015年の渇水以来、実に10年ぶりの出現。

 胆沢ダムは先週、過去最低水位を更新しました。貯水率は25日午後3時時点で4%と、厳しい状況が続いています。

北上川ダム総合管理事務所 小出博事務所長 「(降水量が)6月が(平年の)4割、7月にいたっては2割と、非常に少雨だった結果だと…」

 20日には、農業用水の供給を停止。上水道と河川維持の放流のみ行っていますが、雨が降らない場合、少なくとも8月いっぱいは、この対応が続くそうです。

ささきズンドコ農園 佐々木宏樹さん 「水やりの手段がない感じなので…」

 こう話すのは、胆沢ダムからの水の供給を頼りにする、農家の佐々木宏樹さん。今、ピーマンが収穫時期を迎えているそうですが…。

佐々木宏樹さん 「(収穫時期が)もう後半なので諦めも。他の品目、冬野菜に関しては今の時期に種をまくが、雨が降らないと芽が出ない。芽が出たとしても枯れてしまう。水はほしいですね」

■水不足で「土のう設置作戦」

 岩手県では一関市でも渇水対策が…。磐井川に設置されたのは「土のう」です。

 市内の浄水場は、磐井川から水をくみ上げ1万6000戸に水を供給していますが、雨が少ない影響で水位が基準の20センチを下回り、川の水を取り込む取水口に水が流れ込みにくい状態となっています。

 そこで、とった作戦が「土のうを設置し、水位を上げる」というもの。設置前に13センチだった水位は設置後、25センチになったということです。

 ただ、これも雨が降らなければ根本的な解決には至りません。

 すでに、市民の生活にも影響が…。

塚田そば店 竹内誠社長 「こんなこと初めて」

 老舗そば店では、猛暑で需要が高まる冷たい麺が提供できない事態に。なぜ、温かい麺だけなのでしょうか。

■猛暑で水不足 節水要請の新潟

 各地で水不足が深刻化しています。

 新潟県の米どころ・上越市の正善寺ダム。雨が少ないなどの影響で貯水率は17%台まで低下しています。

上越地域整備部 田口浩司副部長 「平成6年(1994年)ごろ、全国的な渇水の時に水位が下がったが、今回はそれ以上に水位が低下している状況。私どもとしてはひたすら雨が降ってほしい」

 こうした状況から、上越市は市内の半分以上の地域に20%の節水を、それ以外の地域にも10%の節水を呼び掛けています。

 影響が直撃しているのは創業およそ80年のおそば屋さんです。

客 「夏だからやっぱり冷たいのを食べたい」 「暑いので冷たいのが良かったが温かくてもおいしい」

 そば店は、夏季限定で冷たい麺の販売を行っていますが今年は中止。麺を冷やすための水を使わないようにするためです。

竹内誠社長 「本当は冷たいのをやりたい、全体の3割は(冷たい麺が)出る。うちは節水するとなると、冷たいのをやめる以外(手段が)ない。(創業)80年くらい経つがこんなの初めて。でもしょうがない、節水のためなら市に協力しないといけない」

 上越市によると、節水の呼び掛けはしばらくの間、続く見込みだということです。